2006年8月3日木曜日

ガラムの実

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 これ、何の実だと思いますか。
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 マナド市内からトモホンに向かう坂の途中に市街が一望できる絶好のスポットがあります。展望台として整備されているわけではありませんが、数台車が止められるスペースがあって、観光客がよく車を止めて景色を眺めています。
 この日も車を止めて街を見ていると…。

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 あたりの道に実を干しているのが目につきました。と、ここで初めて気づいたように書きましたが、実は時期になると街中の至る所の道路を使って丁子の実が干されています。たいていは公道を占拠しているので非常に邪魔です。歩道はもちろん車道にまでせり出しているのが普通です。たぶん許可とかは取ってないんだと思うんですけど、昔からのことなので、なあなあになってるようです。ちなみにベトナムでは米を干したりしてましたが、四車線の幹線道路沿いに田んぼがあったりすると100キロ近いスピードで車が通る道にせり出して米が載ったござが敷き詰められていたりして、バイクに乗るときは本当に運転に気をつけなければなりません。
 マナドでもこの時期バイクや車、もちろん歩行者も内心文句を言いつつも、仕方ないと思いながら道を通ります。丁子というのはかなり臭うものです。香り付けに使うのだから当たり前です。子供のころからこの環境にいれば慣れてしまうのかもしれませんが、苦手な人は苦痛でたまらないでしょう。私は平気な方ですが、それでもこの大量の丁子の脇を歩くときは少し臭います。
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 よく見ると周りの山々には丁子の木がたくさん繁っています。
 この匂いに出会ったのは、ガラムという煙草でした。あれは1996年に初めてインドネシアを旅行した時のことでした。ガラムはインドネシアでは一般的な煙草の種類の一つで、丁子で匂いをつけていて味が非常に甘いタバコです。火をつけると強烈な独特の匂いがして、飲食店などではこのガラムのみ禁止されている所あると聞けば、その匂いの強さがお分かりになるのではないかと思います。私は匂いの方は大丈夫だったのですが、甘さに慣れず好きになれませんでした。
 10年ぶりにインドネシアにやって来て街中でこの匂いを嗅いだ時、すぐにあの煙草の匂いだと気付きましたが、再びインドネシアを訪れて今度は少しインドネシア語が分かるようになって、このガラムというネーミングに疑問を抱きました。ガラムというのはインドネシア語で塩という意味です。丁子という意味ではなくても、砂糖という名前だったら納得したかもしれません。では、なぜガラムなのか。それは、ガラムというのはグダンガラムという会社が販売する煙草のブランド名だからです。グダンガラムというのは「塩の蔵」という意味です。もともと塩を売っていて日本のJTみたいなものだといえば話がつながって面白いのですが、塩を販売している裏は取れませんでした。何かの故事に由来するのでしょうか。よく分かりません。ご存知の方は教えてください。
 このことを知るまで、私はこの木と実をガラムの木、ガラムの実と呼んでいました。煙草のガラムは有名ですので、インドネシアの方はわかってくれていたようですが。そして、塩という言葉を覚えた時に真っ先に浮かんだのがこの煙草のことで、なぜ甘いのに塩という名前なのかとよくインドネシア人に質問して困らせていました。
 ちなみに煙草の名前を指す時に言うガラムというのは商標ですので、この種の煙草のことはインドネシア語ではクレテック(kretek)と言います。

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